横浜女が滋賀で主婦する

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金ロー「かぐや姫の物語」感想 生の全肯定

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映画館でも見たし、ブルーレイも持ってる。

 

古典中の古典・竹取物語が原作で大筋はそのままなので、ネタバレも何もないとは思いますが

好き勝手内容にふれていくので未視聴の方は念のためお気を付けください。

また具体的説明・紹介を省いた「見ていないと分かりにくい文章」もあるかと思います、ご容赦ください。

 

まずね、なんかいろいろ言われがちじゃないですか。

女として生きることの云々とか、古典でありながら現代に通じるどうこうとか、

キャッチコピーの罪と罰についてとか、

仏教的な要素だったり、

天皇に対しての思想がどうちゃらとか、

あと制作方法の話とか、

監督つながりでハイジとの共通点とか。

 

そういう奥深い解釈とかは(なるほどなるほど!と読ませていただきつつ)ほかの方にお任せするし

テレビで特集されたようなことなんかは今さらだし

ここではもうちょっと低次元なことを思いつくまま書かせていただきたい。

 

何ってさ、一番言いたいのはさ、

生への全肯定がすごいってこと。

 

これはね、もう、最初に映画館で見たときに思ったこと。

はわわわわわってなりました。

忘れもしない、新宿ピカデリー。

 

なんなら台詞で言っちゃってますからね、これ。

 

貧乏でもいい、殴られても平気、そんなの「なんでもないわ。生きている手ごたえがあれば!」って。

言っちゃってます。

 

これがもう、すごい。

もちろんおおたは、貧乏は嫌だし、殴られて痛いのも嫌だ。

嫌なんだけど、楽しい嬉しいという感情が生まれるはもちろんのこと、

嫌だ嫌だと言いながら生きていること、それもすっごく尊いことなんだよ!って。

 

伝わってます?伝わってますか、この絶望と興奮が。

 

ものすごく極端な話ですけどね。

なんの感情の波もない、死すらない月の都の人たちと

いちいち心に波風を立たせ、あっという間に死んでしまう地球のわたしたち。

 

ああやだやだ!と見ていたけれど、最後には、

翁の愚かな愛情、だからこその下品な階級コンプも、まるっと愛しく思えて泣いてしまうような。

 

正も負も、まるっと包み込まれてしまうのですよ。

ものすごく高次な存在から「うんうん、君たちのそんなところも愛おしいし、面白いと思うよ」と言われているような。

 

はあ。言いたいことはだいたい書きました。

 

(だいたいやりきったので、以下、やたらあちこちに話を飛ばしながら、より好き勝手な感想文を。)

 

なんだかんだおおたは、二度目以降、この終盤の逆転(醜い部分さえも人生の醍醐味!という気づき)のために見てる部分あります。

 

もがいて生きている側としては「受け入れがたい綺麗ごと」な部分もあるけれど、

それでもなんか、やたらスカッとする飛翔シーンとかたまらない。

 

ていうかなんなの、捨丸にいちゃん。ほんとにイケメン。

最後の再会シーン、「嫁を捨て丸」なんて揶揄されがちですが

おおたはあの一連のシーン、めっちゃ泣くよ。

そりゃ「えええちゃっかり妻と子おるやんけー!」とびっくりしてからの「俺と逃げよう!」で大胆すぎるだろ!と思うのですが

それでもそう言ってくれて嬉しいの。

それでこそ捨丸にいちゃんじゃないですか。

ほかの公達とは違って、きっと捨丸にいちゃんなら、どんなに手遅れでも、望めば本当に二人で逃げてくれたと思う。

でも「もう遅いの」って姫が拒むところがまたニクイ。

(それにしても「もう見つかってるの」っていう姫の話を聞いて「?」って空を見上げる捨丸にいちゃんのあほ面大好き、超愛しい)

 

とにかくあの飛翔シーンは最高。

 

果たされなかった雉鍋の代わりに、最後にあんな…あれもう、あれでしょ…?

 

でもそんな最後の逢瀬も、短い白昼夢に過ぎないと。

例えば「姫の脱いだ衣は残されてる」とか、それがあからさまなら「姫が刈った草は残されてる」ぐらいの描写をしてもいいじゃない?

でもそんなの無い。容赦ない。

夢!?って驚いた後、次に目に入るのは現実の嫁と子。

(それにしても、なんつーモブ顔の妻子だろうか。いやモブ顔どころの話じゃないぞ。)

 

それでも、それでもあの飛翔シーンは最高。

 

いいじゃないか夢くらい見ちゃっても。

最後まで捨丸にいちゃんが姫を「たけのこ」って呼ぶの大好き。

捨丸にいちゃんの前でくらい、ずっと「たけのこ」でいさせてくれよ。

 

捨丸にいちゃんはあれなんだ、もちろん飛翔シーンもいいんだけど、

都に行くまでの成長過程もイイよね。

 

どんどん成長するたけのこに、単純に驚くだけじゃなくて、捨丸だけ別のドギマギも混じるあの感じ。たまらない。

あとあれね、瓜のシーン。

(火垂るの墓を見た後だと、「またお兄ちゃんは他人の畑から…」と思ってしまう。)

みんなでいたはずなのに、ハプニング的にちゃっかり二人きりになって、

茂みでこそこそ生まれて初めての瓜を食べるっていう…眩しいあどけなさとともに、やたらとエロさを感じるのですが…。

そもそも、雉鍋あたりの姫はやたらとエロくてほんとドギマギする。

身体の成長に追い付いていない無垢さに、もはや禁忌的な感がある。

 

(ごめんなさい、これ書きながら録画を流してて、今たまたまこのシーン↓が出てきたんだけど。

車持皇子が来て翁が「寝間の御仕度を!」って盛り上がっちゃったのを見送った媼が「寝間の支度…」ってぼーっと繰り返すところなんか好き。)

 

ちなみにおおたは、かの飛翔シーンと、さいごの別れのシーンで泣いてしまいます。

 

あの天人の音楽はまじヤバイですよね。

ポップな曲調すぎて最初は唖然としたんですけど。

おおたは平等院ミュージアムで見た雲中供養菩薩像が大好きなのですが、あれはけっこう一体一体楽しそうで、エグザイルみたいに(?)楽器担当と踊り担当に分かれていたりして、

ああいう音楽もたしかに似合っちゃうかもと思い返すのです。

死ぬときにはあんな感じで迎えに来てもらったら、なんか愉しそう!と素直にあの世へゆけるかもしれない。

 

あと別れのシーンは、女童がほんとにいい味出してる。

いや女童(おおたはウメちゃんと呼んでいる)はずっといい味出してるんだけど。

さいごにいつの間にか屋敷を抜け出して(天人たちの眠らせパワーは、きっと屋敷内に限定したに違いない)、近所のキッズを引き連れて

姫に届け、とばかりにわらべ歌を歌うウメちゃん…。

ああずっと一緒にいたもんね、ウメちゃんだって姫のこと分かってるよね…!と嬉しくなる。

ウメちゃんのスピンオフがあったら見る。

 

ウメちゃんだけじゃなくて、相模さんも超好きです。

一連の教育シーンとても好き。

「宮中から参りました」と言ってたし、超できる教育係を引き抜いてきたんだろうな…。

月からの仕送り額は計り知れない…。

 

(ごめんなさい、またたまたま流れているシーンの話ですが、

石作皇子のターンで、姫と石作皇子の北の方が入れ替わっている、という描写、分かりにくくないですか。

おおたは初見じゃ分からなかった。

たんに御簾を開けたらブスでしたー☆でも自分を受け入れてくれるかのテストかと…。

それにしても上川さんの声はいい。)

 

あと音楽ね、今回は久石譲さんなんだけど、

序盤の方で都に引っ越して、姫がうすうすの衣を羽織ってきゃっきゃするシーンがあるじゃないですか。

あそこの音楽、切なすぎますよね。

 

あれがそれこそ天人の音楽みたいに、姫の表情と同じくらいきゃっきゃした曲調なら、まるでトトロのお引越しシーンみたいにわくわくするじゃないですか。

でもめちゃくちゃ切ない音楽。

映画に使われる音楽は、サントラでもじっくり聞かない限り印象に残らないものも多いけど

あそこは姫の楽しそうな様子とのギャップがありすぎてざわざわして、なるほどやっぱり音楽って大事なんだなと思わされる。

 

なんの脈絡もなくお花見のシーンの話をさせてください。

あの、予告でもよく流れてた、満開の桜の下で姫がきゃっきゃするあのシーン。

ところがちょっとしたことでサッとテンション急降下。

自分で行くと言い出したくせに、ものの1分で「帰りましょう」と言い出す始末。

ヤベェやつじゃん!!!と思いますよね。

でもさ、なんか分かる。なんか分かりません?

まさに水をさされるというか、興ざめというか、自分でもびっくりするくらい冷めちゃうとき。

姫がサッと笠の布を下ろすみたいに、心を閉ざしちゃうとき。

あるよね~!

 

そして、声。

高倉あきさんの声が良すぎる。

たいへん気高い。

最近のジブリは声優じゃなくてげーのーじんを使って!と批判されがちだったけど、

かぐや姫のキャストはみんないい。本当にいい。全部いい。

相模さんも、もう高畑淳子さんにこの手の声ださせたら最高じゃんって思うし。

もちろん地井さんも…翁途中めっちゃ「ああもう!」って思うんだけど、それでもやっぱり愛しくなってしまう。

上川さんだけじゃなくて、高良さんもめちゃ男前な声だし。もうなんなのほんと。文句なし。

 

とまあ、本作はおおむね大満足なのですが

御門の扱いだけはちょっぴり悔やまれます。

竹取物語だと、御門だけはなんていうか、「話の分かるやつ」というか、

(さすがに国のトップだしちゃんと相手しなきゃなあというのが始まりだとしても)

唯一、姫とまともに交流した相手なわけで。

きちんと一歩引きつつも、心を通わせた…のかな?と思わせてくれる相手なはずで。

月に帰すまいと護衛の兵士を御門が手配してくれるとか、

不死の薬をもらってそれを富士山の頂で焼く…とかのエピソードもなかったし。

ジブリ版では「わたしがこうすることで喜ばぬ女はいなかった」なんて全盛期の源氏なみに調子乗ってるただのアゴじゃん、っていう。

でもまあなー!そこまでやると時間足りないし、とにかくここを描きたい!っていうのとズレちゃうのかなー!

 

ていうかなんですか「原作 竹取物語」って。

もうこの字面だけで、破壊力抜群ですよ。

竹取物語ですよ?ねえ。物語の祖ですよ?

紫式部が「物語の祖」って言うくらいだからさ、もうどんだけ祖なのって話です。

竹取物語、ほんとすごいな…。

 

もちろん高畑勲さんもすごいし、これに関わったすべての方がすごい。

 

公開当初の肌感触だと、つまんないとか言われがちだったんだけど

どうなんでしょうか。

おおたは好きです。

 

もちろんこう、トトロとか魔女宅みたいに、

ちょっとジブリでも見よっかな~と気軽に見れるエンタメ作品ではないと思うんだけど

たまにずっしり見るにはよいと思うのです。

たしかにちょっと、五人の公達のターンなんかは中盤飽きてくるかもしれないけども。

 

都の建造物のカットが好きです。

朱色の建物と、桜と、鳥と空と。ほんとこういう景色が好みです。

 

あーほんといい声だ。いい声だ。

 

 

 

ではね |ω°)ノ