横浜女が滋賀で主婦する

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「そういうふうにできている/さくらももこ」感想 笑ったり考えたりできるエッセイ

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図書館で三島由紀夫を借りるとき、

きっと暗い気分になるから気軽に読めるものも借りておこう…という自分のための理由と

「この女、ミシマ文学って顔じゃねえだろ」と受付の方に思われたら恥ずかしい…というこれまた自分のための理由で

毎回さくらももこさんのエッセイを抱き合わせていました。

 

ふたつめについては、

えっちな雑誌と一緒に漫画誌をレジに出すのと同じ手口・心境ではないでしょうか。

 

(三島作品の感想はこちらから)

三島由紀夫 カテゴリーの記事一覧

 

  

本当は最初のエッセイ「もものかんづめ」から順番に読みたかったのですが

図書館になかったので

(もものかんづめはいつ見ても無い。なぜなのか)

「さるのこしかけ」と、今回語りたい「そういうふうにできている」を読みました。

 

「さる…」も面白かったのですが、今回は「そういうふうにできている」を読んで思ったことを。

 

内容

 

本作は、さくらももこさんの妊娠準備期~出産までの出来事がつづられたエッセイです。

 

旦那さんに「子どもが欲しい」と言われて、婦人科へ行ってみた話から始まり

(最近で言う「妊活」のことは書いてないです。

婦人科で子宮の健康チェックをして、基礎体温をつけましょうねーと言われた程度)

 

妊娠期のつわりや便秘などあれこれの苦労、

そして出産後の名づけあたりまでが書かれています。

 

ちなみに1995年の出版。

実際にお子さんが生まれているのは1994年です。

20年以上前の出来事ではありますが

エッセイの面白おかしさはまったく色褪せていません。

 

お腹を抱えて笑ったエピソード

 

さすがさくらももこさんだけあって、面白いお話がたくさんあったのですが

おおたが特に、昼間ひとりの家でお腹を抱えて笑っていたのが

「妊娠期の情緒不安定」について書かれたエピソードです。

 

普段は気にならないことにもイライラしてしまったり、ナーバスにとらえてしまったりで

お悩みの妊婦さんご自身やご家族の方はいると思います。

妊娠を経験していないわたしが「妊婦の情緒不安定を笑った」となると

たいへん人聞きが悪いのですが…

他愛ないエピソードでも、さくらももこパワーが加わると、

面白いんだもん…。

 

さくらさんが、おうちで旦那さんとご飯を食べながら

テレビを見てたんですって。

(さくらさん、って間違ってないけどなんかもじもじする)

 

その日のご飯は、美味しいサンマだったんですって。

「美味しいねえ」なんていろいろ話しかけたけど

旦那さんはテレビ(録画)の秋元康に夢中。

ろくな返事もくれずに「なんだよ、聞こえなかっただろ」なんて文句を言いながら巻き戻す始末。

 

 私はガーンと絶望的になった。...(中略)…

 私は夫にとって、秋元康の面白い話にも及ばない程なんの価値もない人間なのであろうか。私などいない方が、秋元康の面白い話をゆっくりきけるから夫は都合が良いのかもしれない。夫は秋元康の面白い話と結婚すれば良かったのではないか。

 このように、どんどん秋元康の面白い話の存在に私のアイデンティティーは追い詰められていった。そしてとうとう私は突然わんわんと泣き始め「どうせ私なんてこの世にいても秋元康の面白い話より意味がないんだよぅ」と具体的な事をわめきながら食べかけのサンマの皿を流しに持って行って捨てた。

 

すごい。

妊娠中の情緒不安定はたいへんな問題だし

サンマを捨てるこたぁないだろとも思うのだが、

もうこの文章の勢いがすごい! 

もしかしたらここで引用する程度では「何がおかしいの?」と思う方もいるかもしれないけれど、

この引用部分だけでも笑ってしまった方がいたら、

きっと楽しめるので全編読んでみてほしい。

 

ちなみにこの文のあと、旦那さんがあわてて謝ってくれたと書いてあるので安心してください。

感情のコントロールができないのは自分自身も苦しいようなので、

家族の理解やサポートは大事ですよね。

 

さくらさん自身も、

秋元康の話を聞きたいのに無駄話で邪魔をした自分も悪いし、

普段なら平気でサンマを食べ続けるのにこの時期は本当におかしかった…と綴っています。

 

それにしても、秋元康って息が長いなあ。

 

名づけのエピソード

 

誕生したご長男に、どんな名前を付けるか苦労された話もありました。

名前の音も、漢字も、だいぶこだわったようです。

 

姓名判断なんて外国人には関係ないんだし今時…と言いつつも

もし子供が将来調べた時にがっかりしないようにしてあげたい!と思ったり

 

とはいえ姓名判断にもいろいろな流派があり

すべてで吉にするのは難しいと気づいたり

 

漢字辞典を開きながら居眠りしてたら

その間に自分が用意した倍の候補を旦那が考えてくれていて反省したり…

なんてことを、さくらさんらしく面白おかしく書いてあるのですが。

 

最終決定がなされたところで

この子はこれからこの名前を持って生きてゆくのだ。私達は親としてベストを尽くした事をここに記しておく。

 とあります。

 

DQNネームをつけそうになっているすべての親に

読ませてやりたいなあと思います。

 

まぁDQNネーム(わたしはキラキラネームなんて言いませんよ)に関しては

他人がとやかく言うのには限界もありますが。

 

届けを出す前に「あなたたち、ベストを尽くしたのよね?」と

誰かが言ってあげてほしい。

親なんだから当然愛情をもって、夢をたくして名付けるのでしょうが

テレビなんかで読めない名前を見ると「んんん」と思ってしまいます。

流行りとか、そういうことじゃないんだよ。

名前はだいじ。

 

親と子の距離感

 

これも、子を持たないわたしには未知のことですが

さくらさんは息子さんについて

「自分の腹から出てきたとはいえ、この子は私とは別の一個体」と書いています。

 

もちろん、我が子は可愛いし、自然と愛情がわくようにできているのだけど

この「別の人間として接するという距離感」は保たれるだろうと。

 

子離れできずにべったりの親、やたらと過干渉の親、

まわりでたまに居ますけど

この「とても近しいけど、別の人間」という意識がないまま家族をやってたんだろうなあと思います。

 

もし自分に子どもができたら、この感覚は大事にしたいなと。

さらに言えばわが子に限らず、旦那さんや誰に対してでも

「別の人間」って思うことは大事です。

いつでも思い通りになったり、支配したりはできないと

分かったつもりで忘れてしまうことは

誰にでもありがち。

 

いつかまた読みたい

 

子どもについては新婚としていろいろ考えたり考えなかったりなのですが

もし自分がそうなったときには、また読みたいなあと思います。

近しい人が妊娠したら、プレゼントするのもいいなと思った一冊。

(妊娠期の注意事項について書いたものとか、子育て術!みたいな本は、

きっと自分で買ったりほかの人から贈られるであろう)

 

 

 

ではね |ω°)ノ