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「ビブリア古書堂の事件手帖1~7/三上延」感想 映画化もされるってよ!

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今年2月にシリーズが完結してたって、知ってました?

(7巻のあとがきによると、今後も前後日譚や番外編のようなものは計画されているそうです)

以前、月9でドラマ化されたのを覚えている方もいるかな。

 

けっこう好きなシリーズなのですが、所有者である母に本を返さなければいけないので

(完結したと聞いて、実家から借りて1巻からまとめて読み直していた)

取り急ぎざっくりとご紹介と感想を。

ミステリーだし、映像化も控えているし、極力だいじなところ(犯人や謎解き部分)のネタバレはなしでいこうかなと思います。

 

 

ざっくり紹介、古本ミステリー

 

タイトルに「古書堂」「事件手帖」と書いてある通りです。

古本屋の若き店主・栞子さんと、バイト店員の大輔が、本にまつわる謎を解いていくライトミステリー。

もう少しいうと「人が死なない系ミステリー」です。

同時に、栞子さんと大輔の恋愛モノとしても読めますね。

家族も店も捨てて珍しい古書を求め出て行ってしまった、栞子さんの母親(いまだ失踪中)もシリーズ全体のキーになっています。

 

どのお話でも、実在の本を発端に栞子さんのまわりで事(事件、というほどでないこともある)が起こります。

 

1~3巻までは短いお話を次々解決する短編集。

4巻は江戸川乱歩を軸にした長編。

5巻で複数の事件を解決する短編集的展開に戻りますが、すべての事件の裏に母親が関係しているらしい、という不気味な芯には一貫性があります。

6巻は太宰治の古書にまつわる長編。

最終の7巻ではついに日本文学では飽き足らず、シェイクスピアが題材に選ばれています。母親との(一応の)最終決着がつけられる長編です。

 

表面上はひとつひとつの事件を解決してめでたし、なのですが

今までの巻にでてきた人物が再登場することもよくあるので、シリーズは順当に1から読むべきでしょう。

もじもじから始まる栞子さんと大輔のラブ進展を楽しむ意味でも、それがおすすめです。

 

映像化について

 

2013年に、月9ドラマになっています。

主演は剛力彩芽さんと、AKIRAさん。

 

剛力さんはねー…好きだけど、これはミスキャストだったなと思います。

当時は原作を知らないから「へぇ」という程度に見てたけど、後から小説の方を読んで「よく剛力彩芽でやろうと思ったな…」と。

見た目の再現度の低さ(黒髪ロング、メガネ、罪深い巨乳という栞子さんを表す一切の記号を無視)はもちろん、

内気で大人しい栞子さんを、元気いっぱいなイメージで売っていた剛力さんがやるのは無理があったんじゃないかな~。

 

AKIRAさんの方は、ゴツくてコワイという原作で記述された見た目には近いなと思う。

演技力どうこうは言われてましたけど…まぁ大輔はおおかた物語の語り手というか見届け役であって、あくまで栞子さんが主役ですからね。

あーあと、ドラマは栞子さんの妹が弟に性転換されていたのもアレですね。

姉妹ってところがいいんだけどな~。

 

そんなこんな、原作ファンの間では「黒歴史」とされているドラマから早数年。

シリーズの完結と同時に新しく「実写&アニメのW映画化」の決定が発表されました。

わーお!これは楽しみ。

まぁドラマもね、おおたはこれをきっかけに原作を読むことになったわけですから(買ったのは母だけど)、裾野を広げてくれたと思います。

 

公開時期はおろかキャスト等の詳細もまだないようですが…今度は原作の再現度が高いといいなあ。

いや大事なのは人物の見た目だけじゃないんだけどさ。

げーのーじんありき、っていうのが透けて見えちゃうと萎えるよね。

ていうか「実写&アニメ」同時に映像化発表って。強気ですね。

もちろん原作は面白いですけど。

いったいどのエピソードをもとにするのかなー。

 

あ、あと読んだことないのですが、コミック版にもなってるそうです。

メディアミックスってやつですね~!お強いコンテンツですね~!

 

いろいろ感想

 

一巻目は、まだシリーズ構想はなかったのかな?というライトな作り。

これはこれであっさり読めていいんですけど、栞子さんの影である母親問題が動き出す中盤以降からぐっと引き込まれる感じです。

おおたは5・6・7の、怒涛のラスト3巻が好き。

 

5巻はね、プロローグとエピローグの構成がおしゃれ。うまいことやる。

そんでもって、ミステリ要素ではなく恋愛面についてはネタバレをしてしまうけど…

 

大輔からの告白の返事に、栞子さんが

「わたしも好きだけど、母親によく似ている自分がこわい。本のことを優先して、いつかあなたを置いてふらっと居なくなるかもしれない(要約)」って言ったとき

「俺も一緒に行けばいいじゃないですか」って答える大輔くんサイコーです。

特に肩ひじ張らず、なーんだそんなこと?っていう姿勢がまたサイコー。

「栞子さんが追いかけたくなるような本なら、俺にとってもきっと面白いから(要約)」って。

栞子さん同様、まったくそんな発想がなかったわたしもびっくりどっきり。

母親に捨てられたも同然の暗い過去、人見知りで本のことぐらいしか話せない不器用さ、

顔も趣味も母親瓜二つの自分がいつか優先順位を間違えるんじゃないかという将来への怖れ。

それをこう、まるっと、自然に受け入れてもらえることの安心感。

ここ!泣けたよ!!(一般的にはべつに泣きどころじゃないのかも)

 

それはいいとして、栞子さんの描写がたまに萌えに振りすぎているのはちょっと恥ずかしくなる。

巨乳具合についてだとか。あとは赤面してすぐもじもじしちゃう感じとか?

忘れたころに萌え描写が来ると「いやぁ、やめてぇ、わたしラノベ読んでたっけーー?」ってなります。ときどきね。

 

6巻は、1巻で取り上げられた太宰治の「晩年」が再登場。

1巻の重要人物だった田中敏雄というキャラもカムバック。

祖父母世代の人に言えないロマンスだとか、大輔と田中の戦闘&話し合いシーンとか。いいですね。

「漱石は祖父の趣味じゃないのに、おかしいと思ってたんだ…」とか、

「君のことは殴れない(要約)」とか、田中がいい味きかせてきます。

田中は基本悪い奴なんだけど、6巻ではどうも憎めない味付け。うまいことやる。

こうして悪役は母親に集約されていくのだ…!

 

7巻はシェイクスピアのファーストフォリオが題材。

母親がとんでもない価値の古書を求めて世界中とびまわっているらしい、という設定も、シェイクスピアならやむを得ないか~と思える。

で、母親については、最後まで、びっくりするくらい好きになれませんでした。へへへ。

一応フォローというか、丸く収まったのかな?的描写はあるんですけど。

古書が好きすぎて家族を捨ててしまう、という行動以上に、人格の描写がとにかくえぐい。

いや、極悪人!って感じじゃないんですよ?

淡々とした、血の通っていない系イメージかな?

それでいて古書への興味には目をらんらんと輝かせる無邪気さと、なにかと人を見透かしてしまう不気味さ。

本棚を見れば所有者のことはたいていわかる、というプロファイル能力が示されますが、

(栞子母は本棚云々以前に常に相手を見定めたり見透かしたり試したり、とにかく嫌な女なんだよおお)

栞子さんや栞子母がわたしの本棚を見たら、いったいなんと分析してくれることやら…ほんと、本棚って人格が出ますよね。

7巻ではすれすれですが一応「母親を負かす」ことができてよかったです。

(なんというか、「一応」感はぬぐえないのですが…)

ラストの古書会館の競りシーン、映像になったらカッコいいのになぁ。

そこにパートナーとして一役買ってみせた大輔くんもgood。

今まであくまで語り役・見届け役で、栞子さんの助手に過ぎなかった大輔くんが、対母親との決戦でここまでやるとはね…。

あんた立派な男だよ!!

 

7巻については、ネットでちらと感想を見ると「仕掛け分かっちゃった」「さいごの大輔の行動も予想できた」なんて声がありますが

おおたは全然気づけなかったよ~。

みんな賢いのね。頭からっぽにして、ただただ展開を追っているおおたとはえらい違い。

でも、気づけない方が楽しいから悔しくない☆

 

まぁそういう謎解き要素も、全巻通しての楽しみですね。

ミステリならではといいますか、最後に栞子さんが犯人(前述の通り人が死なないミステリなので、必ずしも『犯人』相手とは言えませんが)を前に謎解きを披露して、

読んでるこっちが「いいぞー!いけいけ!栞子さんはお見通しだぜえ!」と盛り上がっちゃう。

今までの謎が明かされ、場合によっては犯人もぎゃふんと言わされ、非常にスカッとします。

 

ちなみに、古書ミステリーだの、有名作家のあの作品が題材だの、と書いてあると

そもそも文学的知識がないとつまらないのでは…?と心配になるかもしれません。

結論から言えば、まったく問題ないです。

無知役の大輔のために、物語に必要な解説は栞子さんから十分になされます。

おおたも作家の名前は知ってるけどちゃんと読んだことないな~とか、そもそも作家も作品名もちっとも知らないな~とか、そんなのばっかりのまま読み進めましたが楽しめました。

ライトミステリがお好みで、かつ雑学・うんちく(実はこの作品を書いていたころ作者は…とか)が苦でないなら本作に向いていると思います。

もちろん、元ネタを知っていればもっと引き込まれるかもしれません。

本人の書き込みがある初版本が(もしあったとして)…という類のフィクションはあるにせよ、

基本は記録に残された歴史的事実をネタに話が進んでいくので、

思い入れのある作家のネタだからこそ許せない!みたいのはない、と、思う。

 

「きらめく季節に たれがあの帆を歌ったか つかのまの僕に 過ぎてゆく時よ」

 

「お前はきりょうがわるいから、愛嬌だけでもよくなさい。お前はからだが弱いから、心だけでもよくなさい。お前は嘘がうまいから、行いだけでもよくなさい。」

 

 「わたしはわたしではない」

 

登場人物たちのセリフにこんな↑引用も多くあって、どきっとときめくこともあります。

もちろん文学史に残る名作家の名作中からひっぱっているので当然と言えば当然ですが。

(物語に絡む発言なので、どこからの引用か、作中でちゃんと分かるようになってます。それぞれお分かりの方もいるでしょうが、読んでからのお楽しみにしましょう)

元ネタを読んでみたくさせる、魅力的な使い方がいっぱいされています。

 

ちなみにいわゆる「本」だけでなく、手塚治虫や藤子不二雄の「マンガ」ネタもあります。

古本屋さんの話ですからね。

 

古本とか図書館の本って、ちょっと苦手…という方もいると聞きますが

「人の手をわたった本には物語がある」という考え方、おおたは好きです。

何十年、何百年も昔の人が書いたものがちゃんと残っていて、

いまのわたしたちの心に響いてくる、という浪漫も。

 

シリーズが7巻も…というとちょっとハードルがあるかもしれませんが、

おすすめライトミステリーです。

 

 

 

ではね |ω°)ノ