横浜女が滋賀で主婦する

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「回転木馬のデッド・ヒート/村上春樹」感想 ハルキ初体験

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1985年出版の、短編集です。

最新作「騎士団長殺し」でにぎわう村上春樹ですが、そういや一冊も読んだことないなあと思ったので借りてみました。

 

なぜ本作をハルキデビューに選んだかというと、

市立図書館に文庫本として在庫があり、かつその中で一番薄かったからです!!

 

読んでみると、短編集としてもちょっと特殊な部類だったかな?と思いましたが

なにはともあれハルキ初体験を済ませました。

思うまま感想をつづります。

 

  

「はじめに」が濃ゆい

 

8編の短編の前に、「はじめに」という一章が設けられています。

これが濃ゆい。

何しろ初めてなのでこの認識が正しいのかどうかわかりませんが

「これがハルキ節ってやつかい…?」と面食らいました。

 

まわりくどく、ねちっこくまとわりつくような文章、という印象。

(悪口として言っているわけではない)

 

そしてこの「はじめに」には、

これは全部自分やまわりの人の体験談だよーということが書かれている。

最初は、「…という体で始まる小説ってこと?」と少し混乱したが

短編を読み進めるうちに、素直に「村上春樹のまわりで実際に起こった出来事」として認識してよいらしいと飲み込んだ。

 

だいたいが「起こった出来事」と「その経験を語る人と村上春樹の会話シーン」から成り立っている。

経験者が「村上さん」と呼びかける場面もあるので、たぶんわたしの認識は間違っていないだろう。

まぁ、メタ構造の小説であってもかまわないんだけど。

 

そして、実際の出来事・人生の一部を元にしているからこそ感じる「我々はどこにも行けないという無力感」があると村上春樹は綴る。

 

…それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。誰をも抜かないし、誰にも抜かれない。しかしそれでも我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげているように見える。…

 

ふむ。この文章は、なんとなく好き。理由はうまく言えないけど。 

 

好きな話

 

正直、すごく好き!響いた!というものはなかったのだけど

(作品自体も、割と淡々としたテイスト)

お気に入りを一つ選ぶならどれ?と聞かれたときは『雨やどり』かな。

 

ナンパしてきた男から金をもらって寝ていた時期がある、と話す女性の話。

相手の顔を見てなんとなく、いくらふっかければいいのか分かるらしい。

一通り話を聞いて「じゃぁ、もし僕がお金を払って君と寝たいと言ったとしたら、君はいくらって言う?」と質問すると

彼女は三秒ばかり考えて金額を提示する。

いま話をしている飲食店の支払い、このあと利用するだろうホテル代、帰りの交通費。

今ある手持ちから、かかる費用を総合的に考えて、ずばりちょうどいい値段を言い当てるものだ…というところで話が終わる。

 

金で男と寝ることがどうとか、そういう潔癖は置いといてほしい。

なんとなく、この話が好きかなあと思う。理由はうまく言えないけど。

「買われてはいるけど、お見通しで、うわ手なのよ」という感じが好きなのかな?

 

あの話は本当だった

 

先日、anemonekoさんのこんなブログを拝見してました。

 

anemoneko.hatenablog.com

 

この記事の中で「村上春樹の小説では、とにかく誰かが勃起している」と書いてあったんです。

 

ハルキ未経験だったわたしは

「HAHAHA、いやまさか、そんなまさかねえ?」と思って読んでいました。

 

そして今回の「回転木馬のデッド・ヒート」です。

さすがに短編集だし、脚色ありとは言え誰かの体験談を聞いている、という体で綴られているし

この本ばかりは例の描写はないのではないかなとなんとなく思っていました。

 

ところが中盤、ペ〇スが登場。

「今は亡き王女のための」というお話です。

しかもよりによってこれ、村上春樹自身の学生時代のお話が絡んできます。

 

小説の架空人物でもなく、体験談を話す誰かでもなく、自分。

自分が学生時代、どんな状況でペ〇スがどうなったのか、詳細につづられます。

 

Oh…!

 

ん、えーと、いいんだよね?

これはその、村上春樹自身の過去ってことで?いいのかな?ん?

青春の思い出…?

 

学生らしくみんなで雑魚寝してる中で、

いつのまにかグループの中のかわい子ちゃんと密着していてどうのこうので、

俺っち混乱したぜ、おかしな体験だったなあという文章なのですが

こちらもこちらで、おかしな文章を読んでるなあと混乱します。

 

特殊な短編集を選んじゃったかな?と思いましたが、

この短編のおかげで、しっかりハルキっぽい文章を味わったな!という達成感がある。

(村上春樹への歪んだイメージは否めない)

 

ちなみに先ほど好きな話としてあげた「雨やどり」も多少性的なネタではありますが、

直接的な描写はありません。

勃起してたのは「今は亡き…」だけでした。

 

「はじめに」を読んでいたころは、んんーと思ったハルキ節も

読んでいるうちにちょっと慣れた。

 

ほかの作品も積極的に読みたい!!という思いは今は特にないけれど

食わず嫌いせずにつまみ食いしてみてよかったなとは思う。

 

短編のうちのいくつかは「小説家さんですよね。わたしの経験、ネタになります?」なんて会話から始まるので

そういうお仕事をしている人のところには、たくさんの人生の断片が流れ込んでくるんだろうなあ。

 

 

 

ではね |ω°)ノ

 

*私の勝手でanemonekoさんのブログを言及させていただきました。

お差支えがあればすぐに修正・削除しますのでお手数ですがご連絡ください*

 

(そのほか本の感想文はこちら)