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横浜女が滋賀で主婦する

日常系雑記ブログ。壁打ちスタイルでやってます。

「暁の寺 豊饒の海(三)/三島由紀夫」感想 のぞき魔変態ジジイ

あれこれの感想文 あれこれの感想文-本 あれこれの感想文-本-三島由紀夫

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おはようございます。

 

ブログのカスタマイズがおおかた終わりました。

特にパソコンからご覧の方は、おっ!と思われたかもしれません。

スマホのメニューバーからうまくリンクが飛べてなかったところも気づいて直しました。

これでご不便が少なくなるはず。

 

ということで、ここからは「図書館で今さら日本文学シリーズ」のお時間です。

 

最新作ではないので、ネタバレも気にせず書いていきます。

 

(一巻目の本と、映画化作品の感想はこちら)  

www.hamashuhu.com  

www.hamashuhu.com

 

(二巻目の感想はこちら) 

www.hamashuhu.com

 

 

あらすじ

 

本の裏表紙に書いてあるものを引用。

<悲恋>と<自刃>に立ち会ってきた本多には、もはや若き力も無垢の情熱も残されてはいなかった。

彼はタイで、自分は日本人の生まれ変わりだ、自分の本当の故郷は日本だと訴える幼い姫に出会った…。

認識の不毛に疲れた男と、純粋な肉体としての女との間に架けられた壮麗な猥雑の世界への橋――

神秘思想とエロティシズムの迷宮で生の源泉を大胆に探る『豊饒の海』第三巻。 

 

悲恋は第一巻春の雪の主人公・清様、自刃は第二巻奔馬の主人公・勲くんのことですね。

「 立ち会ってきた」とあるように、本多は二巻まで物語の脇役。

本多視点で綴られる文章も一部ありましたが、あくまでも第三者的視点でした。

 

ところがどっこい、三巻目になって、物語は完全に本多目線で語られます。

清様の生まれ変わりであるタイのお姫様ジン・ジャン(日本語の意味では月光姫)目線は一切ありません。

それが最後のひっくりかえりの仕組みにもなるわけだけど、んー。

 

第一部 タイとインドと思想のいろいろ

 

48歳になった本多。

弁護士の仕事としてタイにやってきます。

そこで出会うのが、あらすじにもあったタイのお姫様。7歳。

出会ったとたん「本多先生!懐かしい!あのときはお世話になったのに死んでごめんね!」と取り乱した様子で話しかけられます(タイ語)。

前回とは違って、前世の記憶があるタイプのよう。

 

勲くんが死ぬ前に「次は女に生まれ変わればいい」と話したり

「ずっと暑い、南の国の…」とか寝言を言っているのを聞いていたことと、

清様と勲くんの人生で起こったある出来事について年月日を問うた二つの質問にお姫様がバッチリ答えられたことで

本多はこの子が清様の次の生まれ変わりであると信じます。

 

ところが、無邪気に水浴するお姫様を見ても、

脇のあたりにあるはずの、目印の三つのほくろは見当たらない。

ほぼ確定だけど、断定しきれないもじもじ感が続きます。

 

そんなこんなしながら、タイやインドの仏教施設や遺跡を見て回る本多。

とくにインド旅行は彼に多くの影響を与えます。

おおたは行ったことないので分かりませんが、

川と、川岸で燃やされる焔、焼かれる遺体、それでいて神聖で、病におかされていて、無情ではなく喜悦で、とめまぐるしい表現がつづいたあと

「究極のものを見た印象」と書かれています。

 

三島由紀夫自身も、タイとインドに行っているそうなので

これは三島さん自身の感想なんでしょうか。

 

そうして究極のものを見てしまった本多は、

転生の神秘を一度目撃して以来、興味をもっていた仏教思想について、一層学びだします。

世界各国の、宗教的、哲学的、転生に関する思想なんかも。

ここが長い。

途中よくわからない専門用語みたいなものがたくさん出てきたけど、

ふーん、へー、という程度で読み飛ばした。

いちいち気になった言葉について考えようとしたら別の書物が必要で、

立ち止まっていたらたぶん第一部を読み終わることができない。

 

それにしてもね。

裏表紙のあらすじにさ、エロティシズムって書いてあるのよ。

第一部ではみじんも感じられなかったね。

旅行記と、小難しい話がほとんどを占めていたし。

(インドやタイの色彩豊かな仏教施設より、ちょっと寂れた遺跡の方が日本的仏教の静かさに通じて安心するというのは分かる気がした)

 

月光姫も、7歳よ?

本多は48歳。

まさかと思うじゃないの。

第一部では、子供か孫を見るような目で見守っているし。

ねえ?まさかと思うじゃないの。

 

第二部 のぞき魔変態ジジイとその他変態のみなさん

 

第二部は変態だらけです。

なんせ、本多にのぞき見という趣味があることが発覚します。

うそだろ本多、うそと言ってくれ。

第一巻・二巻と清様(勲くん)の純粋さに憧れながら、その手助けをするために振り回されるというヤレヤレ友人枠だった本多くんが。

理性に生き、法の世界に生き、マジメ一筋だと思った本多くんが。

おっさんになって、のぞき魔に成長していようとは。

誰が予想したでしょう。

本多さん、好きだったのに…。

 

自分の別荘で、書斎と宿泊用の客室を隣り合わせにして

間の壁にのぞき穴を作っちゃうんですよ。びっくりだよね。

自分のテリトリーだけならまだしも、

夜の公園に出張してまでのぞきを楽しんだりしているし。

おいおい。

 

ほかにも変態の中年ばっかり出てきます。

どうした第二部、なにがあったんだ。

文学作品でエロだの変態性だのが描かれることはもちろんよくあると思うのですが

いかんせん一巻、二巻、この巻の第一部にも

そんな影はなかったもんだから。

 

でもまぁね。覗きはいいとするよ、誰にでも性癖はあるよ。

たださ本多くん、ジン・ジャンに恋しちゃうのはどうかと思うな。

 

第二部で、7歳だったジン・ジャンは18歳になって日本に留学してくるんです。

(ちなみにこのときには、前世の記憶はなくなってる。

幼いころはおかしなことを言ってたみたいで恥ずかしいです、という程度)

 

還暦近い変態ジジイの頭の中は、18歳のタイのお姫様でいっぱい。

とにかくジン・ジャンのおっぱいについての記述がたくさん。

その胸のふくらみがどうのとか、服の下から盛り上がってどうのとか、別荘にプールを作ったのは彼女の水着姿が見たいからだとか、そんなのばっかり。

あきれたジジイだ。ロリコンのぞきじじい!

 

もう訳が分からない。

でも、恋しながらも自分がどうこうしたいわけじゃなくて、

とにかく覗きたい。

 

望んだところでおっさんには不可能なこととはいえ、恋の成就が目的じゃないんです。

そこがこのおっさんの歪んだところ。

誰にも見られていない瞬間の彼女を覗き見たくて、

もちろん自分がこっそり覗けたところでそれは「誰にも見られていない」という条件を満たさなくなってしまって、

不可能だから美しく、求めてやまず、

もはや究極は「死」とか言い出す始末。

なんとなくわかるけど!もう分からないよおっさん!

 

変態仲間の別のおっさんも、頭の中におかしな国を建国してたりするし。

(こういう人たちがいる国があって…という設定で語りだす。みんなも面白がって、あの国の人たちはどうなったの?とか聞いちゃう。)

その国が、とにかく美と崇拝と血と肉と記憶って感じ。

なにを言っているのかよく分からないと思うんだけど、

とにかく変態おっさんの脳内エロランドは血なまぐさく、それでいて精神の究極っぽさがあるということ。

凡人にはついてゆきがたい。

エロとグロは、セットで語られなければいけないんだろうか?

 

ちなみに変態だらけの中で、唯一まともっぽいのは本多の奥さん。

ただ奥さんは、本多がジン・ジャンに心酔しているのに気が付いておかしくなっちゃう。

もとから病気がちだったり、子供を産むことができなかったり(石女という今は見かけない表現!)で、

若いころはそこが庇護欲をくすぐる部分にもなったけど

年をとってからは、いじけがすぎて歪んだ中年女として描かれてしまう。

 

そう、中年。あるいは初老。

ここはわたしがまだ到達しない部分だから何とも言えないけど。

見た目は若いころに比べれば当然醜くなり、そこが精神にもなんらかのゆがみをもたらしていく。

もう若くない。もう純粋じゃない。

こわい。

 

そんでもってラストスパート。

隣に別荘を建てたことで仲良くしてたおばさんと

ジン・ジャンのレズプレイを例の書斎の覗き穴から見ちゃう本多くん。

 

えー。

えーーーーーー。

もうね、びっくりだけどびっくりしないよ。

変態オンパレードでなんでもありだよ。

おばさん、アメリカ軍人の若い彼氏がいた描写もあったのに、どっちもいけるの?

もうなんでもいいの??

ジン・ジャンとの仲を取り持ってあげるからわたしの足をお舐めなさいよって本多に言ったときは

あなたもうすでに彼女とデキていましたね!?

(もちろん本多は舐めた。年齢より若く見えてイケイケで、外人好きするお尻の大きなおばさんの足を)

 

本多もびっくりしつつも、のぞきながら

「生まれ変わりのしるしのほくろ見っけ!」ということで

求めていた性的なものやおばさんの裏切りへの怒りはおいといて、

別ベクトルでも大興奮。

ちくびの横にあったらしいよ。そりゃのぞきでもしなきゃ見えないね。

 

ちなみに隣の部屋をのぞき穴から一生懸命覗いているところを

奥さんに発見されちゃってびっくり。

あれもびっくり、これもびっくり、びっくりだらけで大忙し!

 

で、そんなこんなしてたら別荘が火事になって

豪邸はぱー。

しかも中では招待していた、脳内変態ランドを建国していたおじさんと、

そのおじさんと深い仲のおばさん(年中、戦争で死んだ息子の話をする。そういう最中も、息子の名前をつぶやいてごめんねごめんねと泣く始末。でもそういうプレイ)が逃げ遅れて(心中?)焼けている。

 

それを見て、この焔(三島は炎じゃなく焔という漢字を使う)と

焼ける人間と

それを映すプールの水。

あーこれは、インドで見た景色だなあと思い出す本多。

もうめちゃくちゃな終わり。

とにかくインドはすごいってこと。

 

死ぬ

 

この火事のシーンが、ほぼクライマックスなんだけど。

あれ、ジン・ジャン死ななかったね?と。火事も生き延びたし。

 

ところが火事から15年経ったというシーンで

日本留学の直後にジン・ジャンが死んでいたこと、死の間際の様子が

最後2ページ程度で語られます。

 

やはり若くして死ぬか。

 

でも今回は、一巻二巻の主人公と違って

次の転生の予感がありません。

それっぽい夢も見てないし…

次の四巻目が最終巻ですが、清様はどうやって生まれ変わるのでしょう。

 

「春の雪」が懐かしい

 

とにかくこの「暁の寺」、後半はエロと変態で胸やけ状態でした。

春の雪でも、奔馬でも、むずむずするようなシーンはあったんですけど。

清様と聡子さんの初キスシーンが懐かしい。

あれは本当に美しかった。あれをもう一度読みたい。

あの文章力を、変態にまわすとこうなるのか。

いやキスシーンも、ある種変態的なほどきれいだったけれども。

もとから清様と勲くんは「純粋性」としてさんざん描かれてましたからね。

中年の汚れた人間の話とは違うのよね。

ああ聡子さんが懐かしい。

 

(四巻目、天人五衰の感想はこちら)  

www.hamashuhu.com

 

 

 

ではね |ω°)ノ