横浜女が滋賀で主婦する

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「春の雪 豊饒の海(一)/三島由紀夫」感想 いま読むからわかる

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文化的生活を目指し、市立図書館で借りてきた一冊目。

 

(そのときのお話は過去記事があるよ)

 

(ちなみに映画版の感想はこちら)

 

高校生のときにも学校の図書館で借りて挫折した、というお話をしましたが。

今回は無事、読了。

 

当時は、だいーぶ早い段階で挫折した記憶があります。

おそらく、文体が難しいとか、時代背景をよく分かってないとかが原因だったと思いますが

(まぁ今読んだところで使われている言葉は難しいし、当時の人間の本当の背景は理解しきれないんですけど)

 

読み進めるにつれ

「ああ、こりゃ高校生の自分には無理だったな」とつくづく。

序盤で諦めず先まで読んだところで、よくわからなかったと思う。

 

中学から女子校の壁の中で、はっきり言えば「男を知らなかった」ですし、初キスもまだだった。

 

あらすじはご興味があればwikiとかで見ていただくとして、つらつらと感想。

 

  

とても美しいシーンがあるので語りたい

  

主人公の青年「清顕(きよあき)」と、簡単に言うと相手役の女性「聡子」が雪見に行くんです。

道中、馬車の中で初めて手を握って

キスするんですよ。

 

雪の降る外気の冷たさと、馬車の中の若い二人の火照り。

大興奮ですね!

しかもその文章が、とにかく耽美で静かで、それでいて抑圧されたロマンティックは生々しく、

さらに清顕の性格の悪さと童貞の感動具合を隠さないんですよ。

 

別に、ちゅーしたことない人間が読んだって

処女の女子高生が読んだって

この文章の美しさに変わりはないですけど。

実際、もっと若い時にこの本読んだぞ!って人は日本に世界に山といるでしょうし。

 

ちなみにこの雪見は、聡子さんから我儘に誘い出した、というのもよい。

我儘美女・聡子。

 

前半は「童貞の苦悩」が続く

つまりは「いたしている」描写もその後しっかり?あるのですが。

前半はほぼ「童貞の苦悩」で、おいおいこんな話だったのかよと思いました。

しかし、いたしてからはとにかく「いかにまた神聖を犯すか」ばかり考えている清様。

(聡子さんは中盤で、別の男性、しかもどえらい人との縁談が決まっちゃう)

 

なんでしょうね。

神聖であるからこそ汚すことに意味があり

禁忌だからこそ侵すことに悦びがあり

終わるからこそ刹那の美しさがあるのでしょうか。

 

それは小説の中でなくとも、誰しも心に浮かんだことのある感覚だと思います。

 

ちなみに清顕のやつ、縁談が決まるまでは聡子さんの好意を分かってふみにじるばかり。

他人のものになってから、待ってましたとばかりに燃え上がるクズ野郎です。

他人のものどころか、もっと言えば、皇族の縁談として「勅許」が出されて、ですかね。

なんかもう、国をも巻き込んだ禁忌に清様大興奮!!

(聡子が主人公のことを「清様(きよさま)」と呼ぶのがなんかとても好き。上流階級のお姫様すてき)

 

そんなことしてるから当然デキる

 

あとはあれですね。

ついに聡子さんに妊娠の兆しがあらわれてしまうシーン。

特別な装飾はない文なんですけど、そこで胸が痛みほろりときたのは、

わたしが大人になって読んだからこそだと思う。

本来輝かしいいのちの始まりでありながら、

「ああこれでなにもかも終わりだ」という絶望とすり替わってしまうおそろしさ。

 

ま!書いてるのは男なんですけどね!

三島由紀夫は死に方なんかで「ヤバイ人」というイメージがあったけど

政治思想やなんかとこの文章の美しさは別物、と考えることにします。

いや正確に言えば作品と作者の思想はまったく別ではないんだけども、

わたし別に、研究者じゃないし。

気楽に読んでも誰にも怒られまい。

 

ちなみにこの話、イメージ先行でロミオとジュリエット的というか、

上流階級で起こった政略結婚による悲劇!みたいなイメージがあったんですけど

ちゃんと読んだら違った。

 

ちゃんと言ったよね!?聞いたよね!?

 

清顕パパとママが

「家族ぐるみの付き合いである聡子さんのお世話をしてやることになっている。話が進んでからではとても断れない縁談がきているが、清顕、おまえに異存はないか?」って聞くシーンがあるんです。

二人そろって、「今なら引き返せる」「少しでも引っ掛かりがあれば言ってくれ」と

結構しつこく確認してくれる。

別にこの時点で交際していたわけではないけど、幼馴染であり、聡子が特別美人だからかな。

パパたち超優しい。すてきな計らい。

 

 

なのになぜそこで!

異存があると言わなかった!!!

「ぼくちんあの女嫌い、仲悪い、かんけーないもんね」的なこと平気で言っちゃう。

 

ばか。清様おおばか。

禁断の愛に夢見るおおばかひねくれくそ童貞。

 

ちなみに関係がバレてから、あとでパパも「なんで!?あんなに確認したじゃん!!」と大激怒。

当然だよねファーザー、わたしもまったく同意見。

(登場人物が父親をファーザー呼ばわりするシーンがあるのだけど、当時の学習院おぼっちゃまの流行りでしょうか。ファーザー…)

 

そんなこんななんだけど、結局引き裂かれてから、最後には清顕に感情移入して悲しくなっちゃう不思議。

 

聡子さんが切る最後のカードがすごい

 

女の決意は固い。冷たい。もう頑固の域。

源氏物語の時代から変わらない。

えー、そうするしかないの?そこまでする?って思っちゃうけど。

そうもいかない。

終わりにすると決めたら、貫かなければいけない。

 

 

有名な文学作品なのですでに読んだことある方も大勢いるとは思うのですが

聡子さんがさいご、どれだけ固い決意で清顕と別れたか

知りたい方は読んでみてね。

青空文庫にもあるんじゃなかろうか。

おおたは結局、紙が好きなんですけど。

 

続きものです 

 

ちなみにタイトルの通り、この作品は「豊饒の海」という長編のなかの第一巻です。

もちろんこれ一作でも完結しているように見えるし、

これだけで映画化もされているくらいなので問題ないですが

とりあえず四巻全部読んでみようと思ってます。

 

「今、夢を見ていた。又、会うぜ。きっと会う。滝の下で」

 

と友人・本多(まじめで超いいやつ。重要人物)に告げるラストシーンもあるので。

「夢と転生の壮麗な物語」と裏表紙のあらすじに書いてあるから、これはストレートに次巻以降の伏線かな?

二巻目以降は、まったく事前知識無しで挑みます。

 

 

映画は2005年に公開されていたようですね。

その話は、また今度。

 

(その後、記事にしました) 


(二巻目、奔馬の感想はこちら) 

 

ではね |ω°)ノ